Simple is best
「粗食は心卑しくなるが、素食は心を豊かにしてくれる」新聞のコラム欄に記載してあった
のに気づき、ああこれだと確信した。
もう数年前になるが、私は体の具合がよくなく、しばらく仕事を休んでいた時期があった。
悲壮感、虚脱感、どんな言葉をもってしても表現出来ないくらい暗いトンネルの中から抜け出せずにいた。家に居られず、遠く離れた叔母の家で3ヶ月あまりを過ごさせてもらった。
叔父も叔母も何も言わず、疲れた私を優しくそして普通に迎え入れてくれた。
宮崎から遠く離れていることだけで、気分が楽になり、私は次第に自分を取り戻していった。
でもそれは、きっと2人の愛情とここで食べた食事のお陰なのかもしれない。
叔父は、公務員、それも農業に関係する仕事なので、野菜や花など育てるのはとても上手である。毎食、叔父が作った野菜を叔母が料理をする。きゅうりは叔母の手作りみそをのせていただく。キャベツはざくざく切ってレンジでチン、かつお節をたくさんかけて醤油で。薬のかかっていないキャベツは本当に甘い。
スィートコーンはツナと塩こしょうでから煎り、口の中で広がる自然の甘みと塩分が合体したこの微妙なうまみはなんとも表現し難い。そら豆も塩ゆで、かぼちゃは醤油と砂糖、みりんで・・
ほくほく甘いかぼちゃは砂糖を減らして、醤油との対比効果でばっちり味が決まる。
そこに魚が登場、煮付け、たたき、いかは内臓そのままで豪快に焼く。これがたまらなく
美味しい!
おやつは手作りヨーグルト、季節の果物を入れて楽しむ。手作りジャムも入れて。
叔父や叔母は、学生時代の友だちが各県に散らばっているので、その県の特産物をよく頂いている。逸品は北海道から送ってきた赤いじゃがいも、本当においしかった。北海道のじゃがいもは、店で買って食べているが、こんなに美味しいものに出会ったのは初めてだった。
湯がいて塩で食べる。これこそ素材の味を楽しめるものはない。
Simple is best. 素材そのものの味、良さを引き出してあげること。奥が深く、ずっと昔に置き忘れてきたもの。
_may_